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JAVITANの農業協力構想について

今回、ベトナム農業に関してJAVITANとして何を協力すべきか、何が出来るかを探るために、この方面で経験豊かな宮崎理事と二人で4月19日から10日間、ベトナムの北部(ハノイ周辺)、中部(ブンメトゥット、ダナン)及び南部(ホーチミン)の農村地域を訪問する機会を得た。

 ハノイ地区では、国際空港寄りの紅河に面した農村地帯を訪れ、そこでは、野菜の栽培者、養豚家、酪農家から直接その実情をお聞きすることが出来た。
 また、ブンメトゥット地区では、コーヒーの農場生産からローストビーンまで一貫して手がけ、自ら販路を開拓しようとしている、農家の夫婦に出会い感銘を受けた。

 ホーチミンでは、南ベトナム農業科学研究所のNGOさんの案内で、郊外の野菜団地(100Ha)を見学したが、そこではベトナム農民がただ勤勉だけと言うことではなく、いろいろと知恵を絞っていることを再認識させられた。
 また、ホーチミンでは、JAVITANにとって記念すべき行事に参加することとなった。

それは、JAVITANのベトナム側の代表理事も務めるグエン・トリ・ユンさんが経営するMINH TRAN 社に於ける、日越友好協会の地域支部結成式典への参加である。

 ホーチミン市の関係者や総領事はじめ日本人の方々、総勢50数名の参列者の前で、JAVITANが紹介され、それぞれ日本側を代表するかたちで挨拶をすることとなった。

 この集会にも多くの行政の方々が参加されていたが、今回の訪越では、それぞれの地域で、行政の責任者や担当者とお会いする機会を得、JAVITANに対する関心の高さを感じると同時に、ベトナム側における人的ネットワークが着実に出来つつあるとの印象を受けた。

 私自身これで5回目の訪越となったが、これまでの見聞を踏まえ、ベトナムの農業とJAVITANの活動について、現時点での私なりの考え方を整理すると、次のようなものになるのではないかと思う。

1. ベトナム農業の現状と施策
  1. 農業生産に関して、ベトナムは亜熱帯農業に適し、殆どすべての農産物を生産できるという恵まれた立地にあり、このことを活用した多面的農林業・畜産・水産業の拡充が可能である。

  2. 現在、食糧の自給は達成され、農産物の輸出国となっているが、今後人口増と食肉文化の進展に伴い、自給率が低下することも予想され、また国際的な競争も激化するので、生産性向上対策は基本的な課題の一つと思われる。

  3. ドイモイ政策は着実に成果を上げており、国民生活水準は年々向上しているように思われるが、ベトナム農民の勤勉さ、労働集約的農業が必ずしも農業所得の上昇に結びつかず、ドイモイ政策が成功するほど、逆に商工業と農業の所得格差が拡大していくことが起こり得よう。
      このギャップを埋めるような農業施策(適地適産、新品種、新農法、換金作物の導入、農産加工と流通改善等)を考え、農民所得の拡大を期することが重要と思われる。

  4. 上記の事情を農民自身が認識するために、教育、指導が行われることと先進諸国の事例を学ぶ機会を得ることも重要と思われる。
      ベトナムの農民は非常に有能であるので、特に生産技術では、その事例を示せば比較的容易に普及するであろうが、問題は流通と販売をどのように合理化していくかであろう。
    そのために、地域別に或いは作目別に、自発的な実行組合的な組織化も有効であろうし、物流・販売施設の整備、農業教育、特に有利な販売を行うための情報の提供が有効であろうと思われる。
2. JAVITANの活動について
 日本におけるJAVITANの組織は、協力の意思がある民間人の自発的な集団として発足したばかりであるので、その力に自ずと限界がある。将来的にはその活動内容によって、賛同する個人や企業の寄付金等の活動資金が期待出来るとしても、当面は、それが期待出来そうもないので、地道な活動からスタートさせ、ベトナム農業への一つの刺激剤となり、小さくとも「きらりと輝く存在に」になって行ければよいのではないかと思う。

 また、この活動が成功するかどうかは、ベトナム側のニーズにいかに的確に対応出来るかであり、参画する全ての人々の努力は当然ながら、行政を含めそれを取り巻く人々の協力もポイントになろう。その活動の柱となるものを列挙すると次のとおりである。
1.情報の提供

生産活動、販売活動における日本の先進的な事例を紹介することは、必ずやベトナム農業にとって役に立つと思う。
その方法は、セミナーを開催するとか、メールマガジンを配信するとか、出版物を発行するなどが考えられる。

2.モデル農場の運営助成と協同販売の推奨

次のごとき段階を踏み、一定の目標を達成する。

第1段階・・・ 直営農場もしくは篤農家に新品種の蔬菜等を栽培させ現金収入増を実現させる。
第2段階・・・ 上記のモデルが点となって、その周辺に賛同者が増えたところで、グループの育成を行い、点から線への発展を促す。
第3段階・・・ 上記のグループが一定数増加した時点で、推奨作物の拡大、品質管理とブランド化、協同販売方法(高級ホテル、特定スーパー、特定市場向け)の導入を行う。
3.人的交流の促進と農業教育助成

ベトナムの農業関係者と日本の農業関係者との交流の機会を提供する。
同時に、農学生に対する奨学資金の供与も可能な時点から実施する。

4.ベトナム農産物の販売促進

JAVITAN会員の農産物で日本向け輸出が可能なものについて、JAVITANのブランド名で販売を行い、そこで得た収益金は、JAVITANの活動資金、もしくは、上記の奨学資金にあてる。

以上


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