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JAVITANの農業支援構想について


ベトナムにおける農業(技術)支援に関して、これまでの経験を踏まえ現時点で私なりの考え方を整理すると、次のようなものになるのではないかと思う。
正直なところ、まだベトナムには行ったこともなく実態を正確に把握していないので、的はずれの点もあろうかと思うが、これらは近く現地を視察することになっているので、よく検証して見たいと思っている。

1. JAVITAN活動の目標・考え方
  1. 農業生産立地として、ベトナムは亜熱帯農業に適し、殆どすべての農 産物を生産できるという有利な立地にある。 このことを活用した多面的農業・畜産業を拡充すること。
  2. ベトナム農民の勤勉さ、労働集約的農業が必ずしも農業所得の上昇に 結びついていない。ドイモイ政策が成功するほど、逆に商工業と農業 の所得格差が拡大していく。このギャップを埋めるような農業施策 (新品種、新農法、換金作物の導入と協同販売等)を考え、農民所得 の拡大を期すること。
  3. 上記の事情を農民自身が認識するよう、教育、指導に協力すること。 そのために、地域別に或いは作目別に、実行組合的な共同体を組織化 し、その有用性を政府や自治体に認識させること。
2. JAVITAN活動の組織化・具体化
次のごとき段階を踏み、3年〜5年で一定の目標を達成する。

第1段階
5人〜10人の篤農家に新品種の蔬菜、果物を栽培させ、あるいは、適正規模の養鶏、養豚を開始させ、現金収入増を実現させる。(JAVITANモデル実践事業)
第2段階
上記の5人〜10人が点となって、その周辺に賛同者が増えたところで、複数のグループの育成を行い、点から線への発展を促す。
第3段階
上記の農民グループが一定数増加した時点で、推奨作物の拡大、品質管理と協同販売方法(高級ホテル、特定スーパー、特 定市場向け)の導入を行う。 また、この段階で農協化か会社化の組織改革を行い、ブランド名 の確立と市場差別化を推進し、農民の自主運営体制を確立する。
3. JAVITANとして、推奨する農・畜産物
仕向け市場別に三大別して考える。

(1) 農家の自家消費物の拡大生産
いわゆる小農生産の中で拡大するには、生産性を上昇させるか自家 消費用生産物を現金作物に切り替えるしかない。
(どの程度進んでいるか実態を見てみないと方向性が出ない)
(2) 地方市場向けの余剰農産物の販売・生産
蔬菜・果実を近郊の露天市場で売る型が一般的であろう。
この分野では、他者との差別化、有利化のために、JAVITANが次のような新品種の導入を支援する。
ベビートマト、スゥイートコーン、パプリカピーマン、大玉たまねぎ、 大粒苺等々
(3) 輸出向け農産物の課題
輸出するには乾燥・保存・輸送・検疫など面倒な問題が多いので、何でもOKという訳にはいかないが、取り敢えず日本市場を指向する なら次のような品目が考えられる。
高品質コーヒー豆、ピラフ等の加工米、ごま(白・黒)、葛、そば、 高級マンゴ、漬物原料用なす、きゅうり、蓮根の塩蔵品等々
輸出は、生産者が苦労する割には、経費、船賃ばかりかかって利益が少ない。また、品質と価格は国際的な競争に晒される。
(小生が上海で成功したのは、輸出の代わりに外人が多く泊まる高級 ホテルに、マスクメロン、巨峰ぶどう、福羽いちご、富士タイプの改 良リンゴなどの高級な野菜・果物をブランド品として売るようにした ことで、これは外貨獲得と同じこととなる)
4. JAVITANの活動開始にあたって
取り敢えずN.P.O.としてスタートすることですが、それにしても最低の人、物、金は要るので初期の活動資金をどうするか、日本側・ベトナム側の募金活動が可能かどうかが一つのポイントとなろう。
小生は、度々中国へ出向いて農業経営指導に当っていますが、日本の ODAか中国政府(中央か省)の招請で行っているので、航空運賃と 宿泊費は持ち出さないで済んでいるが、ベトナム相手の場合は、事情 が違うので余ほど効率的にやらないと、息切れしてしまうことを心配 します。 この辺をどうするのか真剣に対応を考えておく必要があろう。
以上