Go Link Main Sài Gòn Doanh Nhân Sài Gòn Giải Phóng Tuổi Trẻ Thanh Niên Người Viễn Xứ Other News
[ NICD-HOME | JAVITAN ]

Back


第4回ベトナムプラスチック産業視察団報告

             長谷川国際技術士事務所 所長
             NPO;ATCN 理事長
               長谷川正


1. はじめに
今回の視察目的は、毎年20%以上の成長を達成しているベトナム
プラスチック産業の実態変化を確認し、ハノイ地区ではJICA,及びJETRO  など政府機関を訪問し、ベトナムプラスチック産業の状況、JICA で進められている、シニアボランチア によるベトナムプラスチック産業への技術支援活動の状況確認やATCNメンバーによる今後の技術支援の可能性、その具体的手法について調査するのが主な目的で、ハノイで6社、ホーチミンでは4社を視察し、そのあと第4回日本―ベトナムプラスチック産業共同開発シンポジウムが開催された。
ベトナムプラスチック産業は2000年にベトナムプラスチック展の視察のためプラスチック加工研究会として最初に訪問した時点では、ベトナムのプラスチック消費量は年間75万トンであったが、2008年の実績では、230万トン、2009年実績は320万トン2010年予測では380万トンに増加が予定されている。(日本の実績が過去20年間国内消費量約1000万トン水準で全く成長していない実績と比較しても、)活力あふれるベトナムプラスチック産業の成長可能性が今後も大きく期待できる。

2.ベトナム現地資本プラスチック企業訪問( ハノイ地域)
ハノイプラスチック社 面接者:NGUYEN HUU VAN - 社長
この企業は1972年に設立された政府資本80%、民間資本20%の株式上場企業。で、従業員778名、金型作製、射出成型加工が主でブロー成型、コンパウンド装置も有している。
工場面積: 4.6万平方メートル。2工場
射出成型機:JSW.東芝、三菱、HYUNDAI、など78台、
金型作製部門: CNCセンター6セット、ソフトCimatron,Reiho,
CAE ソフト Moldex. など各種加工装置を有する。
射出成型品: ホンダ,ヤマハなどオートバイ部品、電話機、プリンター部品、水処理、PVC継ぎ手、マンホール蓋、金属複合部品、家電部品(洗濯機、クーラー、など各種)、運搬用大型ボックス、など各種成型使用プラスチック材料としてはPP.PE。PS。PVCが主体今後改善される点としては、金型設計技術、CAE技術の活用強化、成型加工と印刷、組み立て加工の整備、成型効率。不良率の改善など指摘した。


Hanel Plastic: 社 面接者: グエン・ コック・ クオン - 社長
                クエン・ ヅイ・ ハイ - 副社長
この会社は政府資本40%、合弁資本60%で、従業員300人プラスチック射出成型部門;製造能力1.5万トン年、成型機JSW、東芝など日本製だけでなく、台湾製、韓国製射出機多い.
製品はキャノン、パナソニック、TOTO、ヤマハ、LG、DAEWOO、SUMSUNG、MTSなど真空成型部門;台湾技術;製造能力1.6万トン年食品容器、工業PS発砲部門;ドイツ技術包装用断熱材、衝撃吸収材として家電、事務機器、食品包装用として大量に製造、発泡成型機12台 建材用発泡ブロック製造ラインも有していた。

先方の要望では新工場建設予定なので、新工場レイアウトや金型整備、補修技術、など指摘したPS発泡ブロックの建材分野への用途拡大への可能性、PS発泡製品のリサイクル加工も検討必要。
この会社は今後企業拡大が期待できるので総合的改善が有効であろう。

VIET NAM HTMP金型会社: 面接者: NGUYEN HUU TUAN - 社長。
この企業はトップレベルの金型専門企業で射出成型用金型、アルミダイキャスト用金型、アルミ鋳造用金型、など製造。
資本的には100%民間資本。2004年に設立された。従業員130人、金型部門;二輪車部品、自動車部品でホンダ、日産、ヤマハが多い。家電部品も各種金型作製装置としては、NCセンター6台、ワイヤーカット1、穴あけ2台、CMM;その他20台、金型はベトナム国内だけでなく、輸出も行っている。
金型設計部門も13人で、CAE,CAD,CAM 技術は高い。
今後の課題としては,金型試作確認用の射出成型機の設置や顧客対応成型部門の投資が求められる。

3. ハノイ地域進出日系企業訪問
MEISEI VIETNAM 面接者;渡辺会長。南谷社長,岡本顧問,西元アドバイザー2004年からKhai  Quang 工業団地に愛知県から進出している精密金型製造企業で、従業員60人、工場面積2HA金型作製装置としては、CAD.CAM10台、マシニングセンター8台、ワイヤーカットなど各種装置、射出成型機;名機製、3台主な金型納入先として、ホンダ,ニッシンブレーキ、スタンレー。ヤマハなど二輪車部品、自動車部品が多い。特に透明自動車部品が優れている。
ベトナムの二輪車需要は活発で、今回訪問したベトナムプラスチック金型企業、成型企業でもホンダ、ヤマハに対して納入しているので、日系金型企業との価格、品質、納期において競争が激化している。
この企業には設立後4回訪問しているが、工場設備、および従業員教育も着実に向上してきた。
今後の課題としては、現地企業との差別化技術、成型加工部門の充実、工業部品への用途拡大など付加価値向上が求められる。

NIPPO メカトロニクス(ベトナム);面接者;西野代表、渡辺金型工場長。
日邦産業は愛知県に本社がある、精密プラスチック成型加工、金型製造、組み立て加工企業で事務機器、家電、自動車部品などの加工を行っている。海外戦略も早く、1988年からバンコック工場、1994年マレーシア工場、その後タイ、コラート工場、の後、2003年よりベトナム  ノイバイ工業団地に3万平方M2の工場が操業されている。主な分野は事務機器部品であるが最近自動車部品需要も増加している。金型部門も整備が進み、現地調達比率が増加している。筆者は過去4回ほどこの工場を訪問してきたが、今回目立った点は組み立てラインが増加した点と、自動車部品への強化を注目した。
品質管理、生産性向上、改善活動については,タイ工場がリーダーとなって海外各工場が毎年コンペを行い、競争して実績を争っている。この分野では非常に優れた企業といえる。

従業員は1300人、射出成型機{タテ型機40台、横型全電動型72台}の112台。材料としてはジュラコン、PA,PPO.PCなど

DAIWA PLASTICS THANG LONG 面接者;奥野社長
この会社は1997年に設立され、2005年からタンロン工業団地に移転している。従業員は857人 主な事業内容は二輪車部品、事務機器部品、光学部品、など中型。小型成型部品が多い。
成型射出機は25-860トンまでの60台 ホッとスタンプ、パット印刷機、などを有する。
社長の話では、最近人件費の上昇が激しく、現地企業との価格、品質競争も激化しており、経営的にもだんだん苦しくなってきている。日本から進出のセットメーカーも近隣諸国との価格競争が激しく、部品調達への価格ダウンが要求されている。

4. JICAハノイ事務所;訪問;面接者;松永次長、高内担当
             多賀谷シニアボランチアアドバイザー
             林田シニアプロジェクトアドバイザー
             TRAN THUC THANH 
        JICAシニアボランチア;藤田氏、工藤氏、
         JICA現地スタッフ;PHAM VAN PHUC
名古屋JICA事務所で進めている、ベトナム裾野産業人材育成プロジェクトについての計画、目的について説明した。
ベトナム事務所で過去2年前より進めているシニアボランチアによるプラスチック産業へ対する産業裾野強化活動についての説明を受ける。600社以上参加されているベトナムプラスチック協会加入の企業より、十数社を選び,そのなかで、日系セットメーカーに対し部品、金型供給能力、技術能力の高い数社を選び技術支援を行っている。そこで今回、JICA側が選定した3社(ハノイプラスチック、ハネルプラスチック、HTMP)を共同で訪問した。
今後ホーチミンで行うATCNの技術支援の際、ハノイ地域の金型、成形加工企業に対し、具体的な技術支援活動をJICAシニアボランチアのメンバーと協力して実施することにした。
尚、ホーチミンプロジェクトでの受け入れ側、部署としてITPCが担当し、NICDのユン氏側が実際的運営を行うことにした。
12月9日NICDにてITPC代表TU MINH THIEN氏に確認する。

5.JETROハノイ代表事務所; 面接者;西川ジレクター
西川氏は3月まで名古屋事務所に勤務されており、ATCNの活動はよく理解されている。
今回の目的及び、2011年からの技術支援プロジェクトについて説明し、JETROの協力をも依頼した。以前VPA主催のセミナの開催時講師としての段取りを依頼したこともあり、今後とも協力を依頼した。
尚、JETROがベトナム産業調査を毎年行っているが、2010年度版の調査資料を頂いた。これには代表的ベトナムプラスチック企業、金型企業の概要、設備明細、人事、規模。などが調査されている。

6.ホーチミン地域プラスチック企業訪問
KTC(ベトナム);面接者;櫛原代表;
この企業は名古屋のカテックス社のヴェトナム工場でハノイにも進出している。ホーチミン工場は15年前にタンッアン輸出加工工業団地に進出し、工業用ゴム加工製品を作製、組立加工している。
主な分野はキャノン、ブラザーなどの事務機部品が多く、EPDM、シリコン、ウレタンゴムをロールで混練加工してゴム成形機で加工している
この工場は市内から30分ぐらいの近くにあるため、すでに5-6回訪問している。管理状態もよく、整理整頓もよく実施されていた。
ダイワプラスチック(ベトナム)ホーチミン工場;面接者KAIDA代表。
ハノイで訪問したダイワプラスチックのホーチミン工場で主に事務機器部品、化粧品容器、医療用容器、など多品種の成形加工、組み立て、印刷などを行っている。成形機は熱硬化性用14台、熱可塑性用射出成形機51台、ブロー成形機2台、5層チューブ押出機も有している。従業員は400人。

MINH HUNG ベトナムPVC,PEパイプメーカー
        面接者;DINH MANH HUNG - 会長
             NGUYEN THI TUYET -  社長
この会社は1997年設立の合弁会社でPVCパイプ継手類、日用生活品、多層フィルム、など生産している。
押出機はドイツBattenfeld社、MTIより導入、内径16MMから500MMまでの各種PVC、PE,PPパイプ類、継手、エレクトロフュージョン継手なども生産していた。

この会社はアセアン優良プラスチック企業トップ60社にも選定されている現地優良企業である。
パイプ事業はベトナムにおいてインフラ整備にとって大切な成長産業の一つであり、今後コルゲートパイプの大型化製品の開発やPVC射出成形部門の充実が必要であろう。工場内配置や原料自社コンパウンド化とパイプ押出ラインへの自動供給方式の導入により製品の安定化と合理化に役立つ。
フィルム部門もドイツ、イタリアから最新設備を導入しているので、付加価値の高い商品開発が求められる。

NGOC NGHIA 面接者;NGUYEN MANH HA - 副社長
この会社はペットボトルの製造工場で、1993年に設立され、最新ペットボトル製造装置を有している。
ペットプレフォーム製造ラインでは18台のカナダのHUSKYの射出機を有しており、ワンショット72個のプレフォームが製造されていた。プレフォームの生産量は年間35億本でPEPSICO  COCA COLA MASANなど1000社のユーザーに供給している。
自社ペットボトルの生産量は30億本、ボトルのキャップも12億個生産している、このキャップ製造ラインはイタリアのSACMI社、及びスイスのOBERBURG社の最新装置を導入している。
ここでは一般のペットボトルだけでなく、耐熱用やCO2ガス入飲料水用などのグレードも生産している。
HUSKYの射出成形機だけでなく、イタリアSIPA SFRのブロー成形機、NISSEI ASBのストレッチブロー成形機、ドイツKHSブロー成形機、やフランス、イタリー、スイスなどの最新ブロー成形機を導入している。
これだけのラインを有するボトラーは日本でもないと思う。

以上ベトナム現地資本のプラスチック加工企業を射出成形、押出、ブロー、それに金型製造企業を視察してきて、思うことは、プラスチック加工産業の技術の大半は導入する加工機械に依存している。しかし、導入した最新装置を如何にに効率よく運用するか、もっと付加価値の高い商品作りに活用するか、不良率を減少さで、不良製品はすぐにリサイクル再利用するか、工場内整備、安全、工場レイアウトの合理化、など会社全体のイノベーションに対する助言、マネージャークラスへの技術支援がATCNの役割と感じた。

7.第4回日本―ベトナム共同開発シンポジウム
これまで2008年、2009年、2010年3月と3回のシンポジウム
を開催し、プラスチックの需要動向、中国、日本のプラスチック用途。ベトナムプラスチック産業の問題点、今後の技術開発の必要性などについて討論してきたが、今回はITPCのTU MINH THIEN 代表も参加されたため、ITPCサイドで20人ぐらいの経営者が集まった。今回のメンバーの中には、食品加工の社長や繊維部門、大学教授、建材会社、プラスチック包装資材、成形加工、真空成形など、幅広い分野の社長、会長が集まり、ATCNが持参したプラスチックの新しい用途製品に強い関心を示した。
例えば、PVCレース、合成木材、グリーンポリマー用途各種、マンゴカバー用微細穴フィルム、異型押出、異型パネル押出、発色フィルム、など日本でも新しい製品にはとても関心を示す。
いずれにしても、ベトナムプラスチック産業への技術支援には、単なる技術講義だけでなく、新しい製品開発、の支援、現場に入っての問題点の改善、改良助言、などが求められている。

今後、ATCNの2011年から3年間、具体的技術支援プログラムを作成する予定である。

              以上

Top